コラムColumn
太っても皮膚は若返らない
老化
Posted on 2018.12.29
皮膚の老化を促すのは、皮膚の下にある皮下組織の脂肪の量が減ること、
その影響を受けて免疫力が低下することなどが、原因の一つだと言われています。
それじゃあ、太って皮下脂肪を殖やせばいいのね! と思いがちですが、
それは間違いだということが、今回の研究で明らかになっています。
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、
皮膚の真皮にある線維芽細胞が脂肪細胞に変換されることで、
皮膚を守るクッションや感染症にならないように防御する
バリアとしての脂肪細胞が維持されていることが明らかになりました。
赤ちゃんの皮膚では、このような線維芽細胞→脂肪細胞という変換が
盛んに行われており、これによって赤ちゃんの肌はふっくらとして、
感染症にならないように守られているということです。
線維芽細胞→脂肪細胞という変換をコントロールしているのが
TGF‐βという物質だということも今回の研究で明らかになっています。
太って皮下脂肪を殖やせばいい…というのは間違いで、
肥満は感染症を起こしやすくするので逆効果です。
TGF‐βは、細胞増殖や細胞の分化、細胞死などをコントロールする
タンパク質で、がんの発生や制御、老化などにも関係しています。
今回の研究は2018年12月26日付の『Immunity』で発表されています。
Ling-juan Zhang, Stella Xiang Chen, Christian F. Guerrero-Juarez,
Fengwu Li, Yun Tong, Yuqiong Liang, Marc Liggins, Xu Chen, Hao Chen,
Min Li, Tissa Hata, Ye Zheng, Maksim V. Plikus, Richard L. Gallo.
Age-Related Loss of Innate Immune Antimicrobial Function of
Dermal Fat Is Mediated by Transforming Growth Factor Beta.
Immunity, 2018