コラムColumn
【ライフスタイル】白内障や水晶体の黄色化が高齢者の不眠症の原因になる!
老化
Posted on 2011.9.16
デンマーク・コペンハーゲン大学のLine Kessel博士らが、Sleep 2011年9月1日号に発表した研究で、加齢に伴う水晶体の黄色化が、青色光(450-490nm)を吸収してしま い、そのことが加齢に伴い、不眠症のリスクを高めていることが明らかになりました。
博士らは30~60歳の被験者970人を対象に、autofluorometry(自動蛍光定量法)という非侵襲的な計測法により、水晶体を通して網膜に到達する青色光の量を調査しました。
可視光線の青色光は脳内で入眠と覚醒のシグナルを体に伝えるホルモンであるメラトニンの分泌を惹起することに作用して、正常な睡眠サイクルが機能することに影響を与えています。
被験者は上記の青色光の量を測定されると同時に、過去1年間の間に不眠で悩まされたことの有無と、入眠剤を使用したことの有無に回答し、睡眠障害の有無について確認されました。
データを分析した結果、被験者の水晶体を通して網膜に到達する青色光の量と、睡眠障害リスクに負の相関があることがわかりました。これは水晶体が黄色化して青色光を吸収してしまうために、網膜まで青色が到達せず、その結果、睡眠障害のリスクが高まることを示していました。
この結果から博士らは、加齢に伴う水晶体の黄色化それ自体は、白内障と比較して軽微な変化であり、重要視されることがなかったが、睡眠障害が高齢者、喫煙 者、これらに加えて糖尿病患者に多くみられるのは、こうした人達が、より水晶体の老化、黄色化が進行しやすいことも関係しているのではないかとしていま す。