コラムColumn
【メディカル】老けて見えるのは心臓が悪いサイン?
老化
Posted on 2012.11.14
脱毛(俗にいうハゲ)、まぶたの脂肪沈着などは、一般的に「老けた印象」を与えるサインですが、実は虚血性心疾患のリスクが高まっていることのサインでもあることが、デンマークのコペンハーゲン大学附属病院に所属するTybjaerg-Hansen博士らによって明らかになり、 2012年11月8日の米国心臓協会の会議で発表されました。
この研究はデンマークの「コペンハーゲン・ハート・スタディ」という1976 年から実施されている循環器系のコホート研究の中の、1万885人の冠動脈疾患を発症した人々の「見た目の老化サイン」について分析したもので、被験者の 55%が男性、45%が女性でした。対象者は45歳以上で、分析した「見た目の老化サイン」は、1.前頭部の脱毛(ハゲ)、2.頭頂部の脱毛(ハゲ)、 3.白髪、4.シワ、5.黄色板症・黄色腫(まぶたに発生する黄色い脂肪球による隆起)、6.角膜の白濁、7.耳たぶのみぞ(耳たぶにできる深いシワで、冠動脈疾患の存在を示すフランク兆候という所見としても有名)などです。
その結果、1万885人のうち、69%に前頭部の脱毛(ハゲ)があり、36%に頭頂部の脱毛(ハゲ)、31%に耳たぶのみぞ(深いシワ)、6%にまぶたにできる脂肪球の隆起、がみられたそうです。
「コペンハーゲン・ハート・スタディ」で35年間、被験者を追跡した結果によると、3401人が心臓病を発症し、そのうち1708人が心筋梗塞を起こしています。これらの結果について研究者は、男性の頭頂部の脱毛(ハゲ)は40%も心筋梗塞のリスクが高く、まぶたにできる脂肪球の隆起と耳たぶのみぞは、男女ともにそれぞれ35%、11%ほど、心筋梗塞のリスクを高めていると言えると述べています。さらに、「見た目の老化サイン」が3つ、4つと重複する場合は、約50%も心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが高まるということです。
今回の研究はコペンハーゲンの住民を対象に行ったもので、人種などに偏りがあり、普遍性はないものの、見た目の老化が心臓の老化のサインになっている可能性は高く、見た目の老化を感じたら、それを生活習慣の見直しに活用して、心血管疾患の予防に役立てて欲しいと述べています。