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【ライフスタイル】高齢になるほどサクセスフル・エイジングしていると自覚する人が増加する?
老化
Posted on 2012.12.14
わが国ほどのスピードではないものの米国でも人口に占める高齢者の絶対数と比率は増加しており、加齢に伴う身体的・精神的健康に関する研究も質、量とも拡大しています。
発表された研究は加齢に伴う身体能力の衰えの実際とそれを予防するための方法、認知能力や記憶力の劣化をどのように補うか、予防するかなど、加齢に伴うマイナスの側面に焦点を当てたものが多く加齢に伴うプラスの側面に目を向けた研究はあまり知られていませんが、カリフォルニア大学サンディエゴ校のDilip V. Jeste医学博士らがAmerican Journal of Psychiatry 2012年12月7日オンライン版に発表した研究で高齢になるほどサクセスフル・エイジングしていると自覚している人は増える傾向があることがわかりました。
博士らは健康で社会関係を保ち積極的に生きる高齢者像、いわゆるサクセスフル・エイジングこそが望ましい高齢者の姿であるといわれる一方で、実態を明らかにした研究がほとんどないことから、カリフォルニア州に住む1.006人の高齢者(平均年齢77歳)を対象に、彼らの身体と認知の健康度と心理的積極性や自分のサクセスフル・エイジングレベルを電話と郵便を使用して調査を実施しデータを分析しました。
データを分析した結果、高齢者になるほど身体的、認知的能力の自己評価が下がる一方で、サクセスフル・エイジングの自己評価のレベルは高まっていくことが明らかになりました。
詳しく分析するとサクセスフル・エイジングの自己評価は嫌な事からすぐ立ち直るという精神的な回復力が強く、抑うつ程度が低いほど高くなり、こうした心理的側面が身体的健康度よりも影響力が大きいこともわかりました。
博士らはこの結果から、高齢者のサクセスフル・エイジングには心理的な要因が大きく、身体面の健康ばかりに注目するべきではなく、精神的な回復力を養い、抑うつにならないようすることが大切だとしています。