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不眠や睡眠の質の低下が高齢者の記憶力の悪化につながるプロセスが明らかに!

老化脳

Posted on 2013.2.26


 

老化に伴う睡眠の質の低下が、記憶力の悪化や健忘、全般的な脳機能の衰えなどに、どのように関連しているのかは、これまでその問題の複雑さから明確にはなっていませんでした。

 

米国カリフォルニア大学バークレー校のMatthew Walker博士らが、Nature Neuroscience 2013年1月27日オンライン版に発表した研究で、老化に伴う睡眠の質の低下が、記憶力の悪化につながるプロセスが実験的に明らかになりました。
 


 

博士らは18人の健康な20代の青年と、15人の健康な70代の高齢者を対象に実験を行い、脳機能と睡眠の関係を調べました。
 


 

実験で被験者は眠る前に120個の単語を覚えて記憶するテストを行い、その後眠りにつき被験者は睡眠中の脳波が測定されました。翌朝起床後に、今度はfMRI(機能的磁気共鳴画像)を使用して脳活動を造影しながら前の晩と同じ単語の記憶テストが実施されました。
 


 

データを分析した結果、高齢者の前頭前野内側灰白質の萎縮が、睡眠中の徐波活動の減少、すなわち深い眠りの減少と結びついており、これらが記憶力の低下を招いている事が分かりました。
 


 

高齢者は青年より徐波の活動が75%も低下しており、深い眠りが少なく、翌朝の記憶テストの結果が55%も低くなっていました。
 


 

一方、青年の脳画像と脳波の分析から、深い眠りの徐波睡眠が記憶を短期記憶として貯蔵する海馬から、長期記憶として貯蔵する前頭前野に、効果的に移行するのに寄与していることも明らかになりました。
 


 

博士らは高齢者の前頭前野の萎縮が深い眠り(ノンレム睡眠の徐波睡眠)を妨 げ、記憶力の悪化につながっていることが分かったので、今後は例えば脳電気刺激などにより、前頭前野を活性化し、睡眠の質を上げることで、高齢者の記憶力 を治療することなどが考えられるのではないかとしています。
 


NatureNeuroscience 2013年1月27日オンライン版