コラムColumn
年をとると食が細くなる原因はペプチドYYが関係
老化
Posted on 2016.8.14
年齢を重ね高齢になると、食が欲しくなり痩せ始めるのはなぜか?実は、あるホルモンの分泌によって、高齢者の食欲減退を引き起こしていることが英国プリマス大学の研究で明らかになり、2016年8月の『Appetite』に報告されました。
この研究は、80歳以上の健康な高齢者の女性6人と、健康な20~39歳、40~59歳、60~79歳の女性の食事摂取と、食欲に関連するホルモン分泌について比較したもの。
その結果、当初予測していた胃で産生されるペプチドホルモンで、脳の視床下部に働いて食欲を増進させる働きを持つ「グレリン」の分泌量には年齢による差が見られず、その代わりに、80歳以上の高齢者では、視床下部の受容体に作用して食欲を抑制する働きを持つ「血中PYY(ペプチドYY)」の濃度が上昇していることが明らかになりました。
ちなみに血中PYYは、食事の時の咀嚼回数を増やすことで、食後の分泌が促進されることが明らかになっており、よく噛むと満腹を感じやすくなるという定説を裏付けるホルモンとして知られています。
Mary Hickson, Charlotte Moss, Waljit S. Dhillo, Jeanne Bottin, Gary Frost. Increased peptide YY blood concentrations, not decreased acyl-ghrelin, are associated with reduced hunger and food intake in healthy older women: Preliminary evidence. Appetite, 2016