コラムColumn
肌の明るさやツヤは野菜と果物の消費量と関係している
美容食
Posted on 2012.3.25
野菜を食べると健康にいいということは、ほとんどの人が知っている常識で す。しかし、それを知っているにもかかわらず、ほとんどの人が健康のために必要とされる野菜の量を食べてはいません。
イギリスのセントアンドリュース大学 のDavid Perrett博士らが2012年2月のAmerican Journal of Public Healthに発表した研究によると、たくさんの野菜や果物を摂取することで、数週間のうちに、肌のトーンが艶やかになることがわかりました。この現象 は、野菜や果物に含まれる、赤オレンジ色のカロテノイドという色素の働きによるものだと研究者らは指摘します。
この研究は35人の学生を対 象に6週間にわたって食事のようすを観察したもので、同時に肌の色の変化も観察しました。その結果、野菜や果物の消費が増えた参加者の肌の色は、金色に輝 いて艶やかになり、野菜や果物をたくさん摂らなかった参加者の肌の色は艶がなくなっていることが明らかになりました。
この結果について研究者らは、野菜や果物の消費量を毎日2皿分(100~150g)増やしただけでも、肌は金色に艶が出て、健康的で魅力的に見えるようになり、この傾向は人種や肌の色に関係なく、同じ結果が得られるそうです。
研 究者らによるとイギリス人は、「1日5皿の野菜・果物を食べよう」という目標に対して、75%の人がこの目標を達成できておらず、研究者らは、この目標を 達成させるためには、野菜や果物を食べることによる実利的な利益を提示したり、野菜や果物を食べることがファッションとしてカッコいいものだというイメー ジを定着させる必要があると述べています。
日本でも「食事摂取基準」で野菜の摂取基準を1日350gと定めています。しかし20~49歳の 働き盛りの世代で、ほぼ100gも不足しており、恒常的に野菜不足の状態にあることが明らかになっています。
私たちは野菜や果物を食べることが必要である ことは頭では理解しています。しかしそれを実行できないのは、モチベーションが低いためで、「政府の施策」「医療費を抑えるため」などという政治的な目標 や、「病気予防」「健康維持」という漠然とした目標では、人々は野菜を食べようとはしないことが明らかです。
研究者によると、今回の研究結果で野菜を食べ ると肌が明るく健康的になるという、短期間のうちに目に見えてわかる変化が得られることがわかり、これが特に女性を中心に、「野菜をもっと食べよう」とい うモチベーションを高めるのではないかと述べています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Journal of Public Health; February 2012: Vol. 102, No. 2, pp. 207-211; DOI: 10.2105/AJPH.2011.300405;