筋トレに栄養補給をプラスすると身体機能の向上だけでなく、事務処理能力などの認知機能も向上することが米国イリノイ大学の研究で明らかになり、2020年10月の『Scientific Report』で紹介されました。筋トレを本格的に行っている人であれば、筋トレ後にプロテインドリンクをはじめとしたビタミン、ミネラル、タンパク質などを豊富に含むサプリメントを使っている人が多いと思います。米国イリノイ大学の研究では、米国空軍に所属する現役の空軍兵148人を、①筋トレとインターバルトレーニング（歩行の合間にダッシュを加え心肺機能を高める運動）の後に、 タンパク質、オメガ3脂肪酸、DHA、ルテイン、リン脂質、ビタミンD、ビタミンB群などを混ぜた栄養ドリンクを飲むグループと、②同じ運動後にプラセボのドリンク（栄養が含まれていない偽のドリンク）を飲んでもらうグループに分けて、12週間1日2回の運動＋栄養補給を継続してもらい、①と②のグループを比較しました。その結果、①、②グループともに、筋力、持久力、バランス力、心拍数の向上、および体脂肪の低下、認知機能の向上がみられましたが、本物の栄養補給ドリンクを摂取したグループの方が、より効率的に体脂肪率の低下、心拍数の安定が実現でき、さらに注目したいのは、作業記憶力、事務処理能力、反応時間などが改善されていました。この結果について研究者は、運動後の適切な栄養補給が筋力や持久力などの身体機能を効率的に向上させることは知られているが、記憶力は事務処理能力、集中力などの認知機能を大幅に改善することは新しい発見だと評価しています。

【出典】 Christopher E. Zwilling, Adam Strang, Evan Anderson, Jennifer Jurcsisn, Erica Johnson, Tapas Das, Matthew J. Kuchan, Aron K. Barbey. Enhanced physical and cognitive performance in active duty Airmen: evidence from a randomized multimodal physical fitness and nutritional intervention. Scientific Reports, 2020; 10 (1) DOI: 10.1038/s41598-020-74140-7