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【食】早産低出生体重児の消化器病予防に乳酸菌が有効!

Posted on 2011.1.8

lactブラジル・Federal University of Pernambuco, Recife(ペルナンブコ連邦大学レシフェ校)のTaciana Duque Braga教授らがAmerican Journal of Clinical Nutrition 2011年1月号に発表した研究で、早産低出生体重児に乳酸菌を投与することで、早産児にしばしば発症する壊死性腸炎が予防できるこ とが明らかになりました。
教授らは早産低出生体重児の消化器病予防に、乳酸菌が効果を有する可能性があることは、過去の研究から示唆されて いましたが、明確な実証研究がなかったことから、2007年から2008年にかけて誕生した出生時の体重が750gから1499gの早産低出生体重児 231人をランダムに2グループに分けて臨床実験を行いました。
実験では両グループとも非経口栄養を与えることは同様で、119人の乳児に は取り置きしてある母乳に乳酸菌(Bifidobacterium breve 乳児の腸内菌叢由来のビフィズス菌・ヤクルトミルミルの菌と同種、Lactobacillus casei ラクトバチルス・カゼイ菌・ヤクルト菌と同種)を混ぜたものを与え、112人の乳児には母乳だけを与えました。
実験は乳児の出 生の翌日から29日間継続されました。その結果乳酸菌が与えられたグループの乳児は、1人も壊死性腸炎を発症しませんでしたが、母乳のみの乳児グループで は、4人が壊死性腸炎を発症してしまいました。また30日目の時点で乳酸菌グループの35%が、完全に母乳栄養のみに移行できましたが、乳酸菌が与えられ なかったグループでは20%に留まりました。この結果から教授は乳酸菌を与えたことで早産低出生体重乳児の腸運動が改善し、それがこうした結果に繋がった のではないかとしています。