コラムColumn
【食】腱炎の人はカレーを食べよう!ウコンのクルクミンに腱炎の予防・消炎の可能性あり
食
Posted on 2011.8.16
英国・ノッティンガム大学のAli Mobasheri博士らがJournal of Biological Chemistry 2011年8月12日号に発表した研究で、カレーに使用されることでなじみ深いウコン(ターメリック)に含まれる黄色色素ポリフェノールのクルクミンに、腱炎・腱障害の炎症を生じさせる生理学的なメカニズムを抑制する効果があることが明らかになりました。
ウコン(ターメリック)は古来よりインド「アーユルヴェーダ医学」で抗炎症薬として使用されてきた植物で、最近はウコンに含まれるクルクミンにさまざまな医学的効果が秘めらてているとして研究が進んでいます。腱炎や腱鞘炎はスポーツ選手だけではなく、高齢化に伴い痛みに苦しむ人が増加していますが、その対症療法として、アスピリンやイブオウリフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬の経口投与か、腱や腱鞘に直接ステロイド剤を注射して痛みを緩和するのが現在のおもな治療法ですが、より効果的で副作用の少ない治療薬の開発が望まれているということです。
今回Ali Mobasheri博士らは、これまでの研究からクルクミンが腱炎に効果があるのではないかと考え、人間の腱組織を組織培養して、クルクミンの腱細胞に対する抗炎症作用を分子レベルで研究しました。
詳しく分析した結果、クルクミンが急性・慢性炎症反応などに関与しているNF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー、核内因子κB、)の活性を抑制し、そのことによってNF-κBが活性することで、引き起こされていく炎症発生メカニズムにスイッチが入らず、結果として炎症反応が生じることを防ぐことになるという現象を発見しました。
博士らは今回の結果を踏まえて研究を進めることにより、栄養学的な観点からのアプローチと、薬学的なアプローチの両面から、腱炎に対する新たな治療の道が開けるのではないかとしています。