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【食】サプリを摂っていても長生きしない? 成分によっては死亡リスクが高くなることも!?
食
Posted on 2011.10.13
我が国でも今世紀に入って、アスリートのみならず、一般人にもビタミンCを始めとしてさまざまな目的で、かつさまざまな種類のサプリ メント、栄養補助食品が普及してきました。しかしサプリメントを摂っても長寿にはあまり関係ないことが研究で明らかになりました。このサプリメントを摂取 する習慣は、なんといっても米国が先進国であり、すでに1980年代には、一般人の日々の生活に浸透していました。
しかしながらそのサプリメント先進国の米国でも、健康維持の目的で一般人が摂取しているさまざまなサプリメントが、摂取していた人々の健康や寿命にどのように影響を与えているのかを、広範に調べた研究はこれまでにあまりありませんでした。
ミ ネソタ大学のJaakko Mursu博士らが、Archives of Internal Medicine2011年10月10日号に発表した研究で、米国の高齢女性の場合は、摂取しているサプリメントの成分によっては死亡リスクが高まる結果 となっていることが、明らかになりました。
博士らは米国・アイオワ州で高齢女性のビタミン、ミネラルサプリメントの摂取と死亡リスクの関係 を長期間調査したデータを分析しました。調査は1986年に開始され、開始時点で調査対象となった女性は、合計38.772人、平均年齢は61.6歳でし た。調査対象者の女性は開始時点と、1997年、2004年にサプリメントの摂取状況を調査されました。
1986年時点で、毎日少なくとも1種類のサプリメントを摂取していた女性は、全体の62.7%、1997年には75.1%、2004年では85.1%でした。また2008年 12月31日までの時点で、調査開始時点の対象者全体の40.2%に当たる15.594人が死亡しました。
データを分析した結果、ほとんど のサプリメントは死亡リスクの増減と無関係であることがわかりましたが、マルチビタミン、ビタミンB6,葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅、以上のサプリ メント摂取は死亡リスクの増加と相関性があり、中でも鉄が最も強く死亡リスク増加と相関が高いことがわかりました。一方カルシウムは死亡リスクの低下と相 関があることが明らかになりました。
博士らは自分たちの研究結果からは、高齢女性に関しては、一般的かつ広範なサプリメント摂取を正当化する実証的な根拠はほとんど得られなかったとしています。