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脳と肝臓を壊す「甘い誘惑」に注意!~異性化糖(高フルクトース・コーンシロップ)の脅威

Posted on 2014.12.13

phm20_0700-s砂糖不使用で低カロリーの甘いドリンクを飲みながら、フライドポテトやハンバーガーを食 べると、食が進み、ついつい食べ過ぎてしまいますよね? 実はこれ、そういうドリンクの多くに使用されている「異性化糖」という成分が、脳を刺激して、食 欲を旺盛にしてしまい、過食や肥満のリスクを高めているからなのです。
異性化糖とは、「高フルクトース・コーンシロップ」「ブドウ糖果糖 液糖」「果糖ブドウ糖液糖」などと呼ばれる甘味料。原材料は安価なトウモロコシで、そのデンプンである「コーンスターチ」を酵素で分解して、甘くてドロド ロした糖液に換えたものが、「コーンシロップ」。しかしこのままでは、甘味が弱く、ドロドロとして加工するのに不向きなため、さらにこれを化学的な反応の 力でブドウ糖から果糖に変化(これを「異性化」という)させたものを含む液糖が「高フルクトース・コーンシロップ」です。
「高フルクトース・コーンシロップ」は、砂糖不使用などと記された甘い飲料に使用されており、これが肥満の原因になっていると指摘されています。
最近では異性化糖が、肥満や肝機能障害、脂肪肝など、人体に悪い影響を与える可能性が高いことから、「狂った砂糖」などと呼ばれるようになっています。
ちなみに果糖は「果」という文字から、果物にたくさん含まれていると思われがちですが、果物には、ブドウ糖、果糖、ショ糖など、さまざまな糖が含まれており、化学的に処理され、異性化したものではないので、果物=有害な糖を含んでいる、と誤解しないでください。
糖 類には、「単糖類」と「多糖類」があり、「単糖類」は最小単位の糖でブドウ糖と果糖がこれに属します。「多糖類」は、複数の単糖が結合したもので、グラ ニュー糖や上白糖(料理などに使う砂糖)の主成分の「ショ糖」(ショ糖はブドウ糖と果糖の2種類の単糖類が結合したものなので「二糖類」とも言います)や 化粧品などの保湿成分で有名な「ヒアルロン酸」、「デンプン」、「セルロース」、「ペクチン」などが単糖類に属します。
果糖とブドウ糖は同じ単糖類ですが、体の中に取り込まれて、エネルギーになるまでの代謝経路が全く異なります。
ブドウ糖は小腸から吸収されて血中に取り込まれながら、全身の細胞でエネルギーとして利用され、余った分は中性脂肪として貯蔵されます。このためブドウ糖の摂り過ぎは、血液中のブドウ糖の量を増やしてしまい、血糖値が高くなって、糖尿病のリスクを高めます。
一方の果糖は、そのほとんどが肝臓で分解・代謝されて、余った分は肝臓の中に中性脂肪として貯蔵されます。つまり、果糖は血糖値を上昇させない代わりに、摂り過ぎると肝臓に負担をかけて、脂肪肝になってしまうリスクがあります。
「NASH」 という病気が注目されていますが、これは「非アルコール性脂肪肝炎」という病気で、アルコールを飲んでいなくても、果糖を多く含んだ飲料や食品を過剰に摂 り続けることによって、肝臓に脂肪が溜まり、炎症を起こして肝臓の機能を低下させ、肝臓の細胞を線維化して、肝硬変や肝臓がんのリスクを高めてしまうので す。
もうひとつ、果糖とブドウ糖の大きな違いがあり、それが肥満と大きく関係しています。簡単に言うと、果糖は脳に重大な影響を与えてしまうのです。それが今回紹介する研究と関係しています。
テキサス大学の研究によると、果糖はブドウ糖よりも、食欲を昂進してしまう可能性が高い、つまり甘い炭酸水を飲むと、食欲が増して、必要以上に食べてしまうことがわかり、2014年12月の米国神経精神薬理学会年次総会で報告されました。
この研究は、16歳から25歳までの男女24人に、ブドウ糖か果糖で甘く味付けされた飲み物を飲んでもらい、その後、チョコレートケーキなどさまざまな食べ物の写真を見せながら空腹感について質問し、そのときの脳の活動をfMRIで観察しました。
その結果、果糖入りの飲み物を飲んだ人の方が、空腹感が強く、食べ物の写真に対して、脳の報酬系(内側前頭前皮質や側坐核など)の領域が強く反応していました。
これに対して研究者らは、果糖は満腹感を得られずに飲み過ぎて、カロリーを摂り過ぎたり、肝臓に脂肪を溜めこんでしまうリスクがあることを、しっかりと認識するべきだと述べています。
【出典】
Kathleen Page, M.D., assistant professor, clinical medicine, Keck School  of Medicine, University of Southern California, Los Angeles; Lona Sandon, R.D., assistant professor, clinical nutrition, University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas; Corn Refiners Association, news release, Dec. 9, 2014; American College of Neuropsychopharmacology meeting, Phoenix, Ariz., Dec. 10, 2014