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オリーブオイルはワインの渋みを和らげる

Posted on 2021.9.7

ワインは食事とのペアリングで、美味しくなったりも不味くなったりもしますが、それはなぜでしょうか? ボルドー大学の研究によると、ワインに含まれる抗酸化物質の1つ、ポリフェノールが起こす化学変化に、そのカギがあることがわかり、2021年3月の『Journal of Agricultural and Food Chemistry』で報告されました。ワインの原料であるブドウの果皮・種子に多く含まれるポリフェノールの一種である「タンニン(プロアントシアニジン)」は、白ワインよりも赤ワインに多く含まれており、赤ワインの収れん性(渋みや舌が引き締められるような感覚)を起こす作用があることで、ワインのおいしさの決め手になる物質として知られています。つまり、このタンニンが出す渋みや苦みがワインの好みに大きく影響しているのです。ワインと食事のペアリングについて調べるために研究者は食べ物に含まれる脂質に着目し、チーズ、肉、植物油、その他の食品に豊富に含まれる脂肪分子がブドウのタンニンと、どのように相互作用するかを調査しました。その結果、ワインの渋みを最も感じにくく、まろやかな口当たりにするのは、オリーブオイルであることがわかりました。赤ワインの渋みが苦手…という人は、ワインと一緒にオリーブオイルを使った料理(パンにオリーブオイルをつけるのがシンプルでおススメ!)を食べると、良いようです。逆に渋みをじっくり味わいたい人は、ペアリングする食事にオリーブオイルを使ったものを避けたほうがいいということですね。

【出典】Ahmad Saad, Julien Bousquet, Nora Fernandez-Castro, Antoine Loquet, Julie Géan. New Insights into Wine Taste: Impact of Dietary Lipids on Sensory Perceptions of Grape Tannins. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2021; DOI: 10.1021/acs.jafc.0c06589