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【メディカル】失業率が高まると幼児虐待が増える
教育、子育て
Posted on 2010.10.9
仕事を失うことは、労働者にとって大きな心理的なダメージになることは、よく知られています。職を失ったことによって、自分を責めて、自殺を図ったりする ことも、日本はもとより、フランスなどでも社会問題になっていますが、アメリカ・ボストン大学のRobert Sege博士らが、9月に行われたアメリカ小児科学会で報告した研究によると、失業率の増加によって、幼児虐待が増えることが明らかになりました。
研 究は、1990年から2008年までの2つのデータをもとに分析が行われました。幼児虐待に関するデータはNational Child Abuse and Neglect Data System (NCANDS)をもとに、経済的なデータはCurrent Population Survey from the Bureau of Labor Statistics(労働統計局の人口調査)から引用して、分析を開始。
その結果、 失業率が上昇傾向にある地域では、翌年の幼児虐待の数が増えていることがわかりました。この結果から、長期的に経済状態が悪化したままでいることは、治安 の悪化、社会不安の増大だけでなく、子供の肉体的、精神的な健康にも悪影響を及ぼすことが明らかになりました。またこの問題への対策として、幼児虐待を予 防するためには、失業率が高く、経済の動向が芳しくない地域では、特に州ごとに対策や予算を準備し、家庭訪問プログラムなどで、子供を虐待から守る必要が あると述べています。