コラムColumn
【メディカル】産後うつは父親にもある
教育、子育て男性
Posted on 2011.3.25
赤ちゃんを出産したばかりの新米ママに産後うつがあることはよく知られていますが、父親になったばかりの男性にも心の落ち込みがあることが、米国ミシガン大学のNeal Davis博士らが4月号のPediatricsで発表した研究で報告されています。
この研究は1998年~2000年に子供が生まれた父親1746人に、子供が1歳以下のときに面接調査を行い、さらにその後の追跡調査の結果を分析したもの。その結果、7%の父親に子供が生まれてから1年以内に、大きなうつ的な心の落ち込みがあったと報告しています。
面接調査では父親の育児に対する取り組みが分析されました。研究者らは歌をうたう、ゲームをして遊ぶ、本を読み聞かせるという最もポピュラーな3つの育児と、体罰について、聞き取りをしました。
そ の結果、うつ的傾向のない父親も、うつ的傾向がある父親も、子供と遊ぶ割合は94~95%、童謡を歌う割合は75%と同じ程度であった一方で、本の読み聞 かせについては、うつ的傾向のない父親は58%の人が行っていたのに対して、うつ的傾向のある父親は41%に留まりました。我が子のお尻をたたくなどの体 罰に関しては、うつ的傾向のない父親が13%だったのに対して、うつ的な傾向のある父親の41%が体罰を行ったと報告しています。
年齢、人種、職種、社会経済的な状況などを考慮に入れた結果、うつ的な傾向のある父親は、そうでない父親に比べて、62%ほど、我が子に本を読み聞かせることが少なく、3.92倍も我が子のお尻をたたくなどの体罰を行うことが多いことが明らかになりました。
体 罰に関してはしつけのひとつだという意見もあり、しばしば論争になりますが、研究者らは、1歳以下の子供に体罰を加えても、それがどんな意味を持っている かを理解することが難しく、しつけと解釈するのは難しいと報告し、子供が生まれたあとの父親のストレスやイライラは、ほかの方法を見つけて解消するべきだ としています。