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【メディカル】ADHD(注意欠陥多動障害)の子供は、将来、アルコールや薬物乱用に陥るリスクが高い

教育、子育て

Posted on 2011.6.15

ADHDADHD(注意欠陥多動障害)の子供は、将来的にアルコールや薬物乱用に陥るリスクが一般の子供よりも約1.5倍も高いことが、米国 マサチューセッツ州のTimothy Wilens医師らの10年に及ぶ追跡調査の結果から明らかになり、6月号のJournal of the American Academy of Child & adolescent Psychiatryで発表されま した。
ADHDと併発する「行動障害」や「反社会的行為障害」も、アルコールや薬物乱用に陥る予測因子になるということです。
こ の研究では精神障害を診断するマニュアル「DSM-Ⅲ-R」によってADHDと診断された268人の子供(平均年齢10.9歳)と、229人の一般の子供 (平均年齢11.9歳)を10年間に渡って 追跡調査しました。この結果、ADHDの子供はそうでない子供に比べて1.47倍も薬物乱用 に陥るリスクが高かったということです。喫煙習慣に関してもADHDの子供は、そ うでない子供に比べて、喫煙する率が2.38倍も高い結果になり、薬物乱用と喫煙リスクを合わせると、およそ3倍も一般の子供たちに比べて、依存症に陥っ てしまうリスクが高いということです。
この結果について性別、社会経済的な状況、家族歴などは関連性が低く、ADHD治療薬の服用の有無についても薬物乱用との関連性が見られませんでした。
博 士らはこの結果には、調査対象の数が少ないなどの限界があるにしても、ADHDの子供を持った家族や保護者、ADHDの子供たちの主治医や医療関係者は、 ADHDの子供たちが薬物乱用に陥るリスクが高いことを知ってもらい、日頃から薬物 乱用に陥っていないかどうか観察して、子供たちが健康に成長していることを注意深く見守っていく必要があると述べています。