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【ライフスタイル】乳幼児期の母子関係が青年期の恋愛力を決める!
教育、子育て
Posted on 2011.12.17
日本では古来より「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、幼いころからの性質は簡単に変わらないものであるという認識もあ りますが、米国・ミネソタ大学のJeffry A. Simpson博士らがCurrent Directions in Psychological Science 2011年12月号に発表した研究で、子供が歩き始める生後12ヶ月から18ヶ月にかけての頃の母子関係が、青年期の恋愛関係、恋人との 人間関係のあり方に大きな影響を与えており、その人の愛する人との人間関係を規定してしまうことが、実証的に明らかになりました。
博士らは発達心理学や臨床心理学の研究から、乳幼児期の経験が、その人の対人関係のあり方に大きな影響を及ぼしているのではないかと考えられてきたものの、乳幼児期から長期的に継続研究を行って実証されたデータがほとんどなかったことから、実証研究を行ってきました。
博士らの研究では低所得の母親から生まれた子供75人が、出生時から30代前半まで継続的に調査され、発達段階それぞれの時期において、母子関係や人間関係、情動と社会性の発達などが調査分析されました。
特に博士らは、学校生活では同級生と、思春期以降10代の時期の友人と、そして20代では恋人と、それぞれ生じた葛藤状況に対応する人間関係の技術や、回復力に焦点を当てて分析しました。
研究の結果、生後12ヶ月から18ヶ月の時期に、母親から虐待など非受容的な扱いを受けた子供は、恋人との関係で何かあると自己防衛的でうるさい面倒な相手 になりやすく、一方思いやりがあり、何か問題があると、常に子供を励まし支持的だった母親に育てられていた子供は、恋人の好意を信頼できる大人になってい ました。
この結果について博士は、幼児期初期の影響について実証されはしたが、本人がそうしたパターンに気づいて人間関係のモデルを改める意思があれば、安定的に相手を信頼するパターンの人間関係モデルを自分のものにすることも可能であるとしています。