コラムColumn
妊娠中のマウスが携帯電話の電磁波を浴びると、産まれたマウスの記憶能力が低下する!
教育、子育て脳
Posted on 2012.3.24
米国・イェール大学のHugh S. Taylor教授らが、Scientific Reports 2012年3月15日付けで発表した研究で、妊娠中に携帯電話から発生する電磁波を浴びると、胎児の脳の発達に影響が及ぼされ、産まれた 子供が将来的に多動性障害を引き起こす可能性があることが明らかになりました。
教授らは子供たちに多動性障害などの神経行動学的障害が増加していることの要因の一つに、胎児期に電磁波を受けること、特に妊婦が携帯電話を使用することで、胎児の神経発生に影響が及ぼされる可能性について疑われることから、マウスをモデルにした実験研究を行いました。
実験では妊娠中のマウスが使用され、電磁波群の妊婦マウスは、ケージの上に携帯電話が置かれた状態で、携帯電話を稼動させ無音にはしましたが、実際に電磁波を浴びさせました。
対 照群では携帯電話は置かれましたがスイッチは入れない状態でした。その後、胎児期に電磁波を浴びて産まれたマウスが大人になった段階で、これらマウスに対 して脳の電気的な活動状態の測定を実施し、また心理学的、行動学的なテストも行った結果、胎児期に携帯電話の電磁波を浴びていたマウスは、大人になった段 階で対照群のマウスよりも多動であり、記憶能力が低いことが明らかになりました。
教授はこうした多動と記憶力低下は、マウスの脳の前頭前皮 質ニューロンの発達が、胎児期に影響を受けたことに起因するとして、さらにこれらマウスの行動パターンは、人間の注意欠陥多動障害と良く似た症状であるこ とから、胎児期に浴びる電磁波の影響について、人間の場合に関しても、今後注意深く検証していく必要があるとしています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
Scientific Reports 2012年3月15日