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【メディカル】母親が肥満や糖尿病だと産まれた子供の自閉症リスクが高まる!

教育、子育て

Posted on 2012.4.29

hahatojihei米国・カリフォルニア大学のPaula Krakowiak研究員らがPediatrics 2012年4月9日オンライン版に発表した研究で、肥満していたり糖尿病に罹患していたりした母親から産まれた子供に、自閉症を含む神経発達障害リスクが高いことが明らかになりました。
Krakowiak研究員らは、これまでの研究で糖尿病の妊婦から産まれた子供に、全般的に発達障害リスクが高いことは知られていましたが、自閉症など個々の障害との関連に関しては詳しくわかっていなかったため、今回の研究を企画しました。
研究ではカリフォルニア州のデータベースから、2~5歳の517人の自閉症スペクトラム障害児、172人の発育遅延児と、対照グループとして315人の典型的な発達レベルの幼児を対象に、妊娠期間中の母親の健康状態(肥満、高血圧症、妊娠糖尿病、2型糖尿病)との関係が分析されました。
データを分析した結果、母親が妊娠中に肥満、高血圧、糖尿病のいずれかの状態だった割合は、自閉症スペクトラム児では28.6%、発育遅延時では34.9%だったのに対し、対照グループ児では19.4%に過ぎませんでした。様々な要因の影響を除いた上で、リスクを比較した結果、妊娠中の母親が、上記3条件のいずれかの場合、自閉症スペクトラムはオッズ比で1.61、発育遅延はオッズ比で2.35と、そうではない場合に比べて高リスクだということが明らかになりました。
3つの条件を個別に見ると、高血圧症のみでは自閉症・発育遅延リスクは上昇せず、糖尿病は発育遅延リスクのみが上昇、肥満の場合は自閉症も発育遅延もリスクが上昇していました。
この結果について、あくまでも両者の関係性が浮かび上がっただけで、因果関係が明らかになったわけではないので、どのようなメカニズムで発症リスクが上がっているのか、母親のグルコースの変化が子宮内で胎児の脳神経の発達にどのように影響を及ぼしているのかさらに研究が必要だとしています。