コラムColumn
生後18か月までに感染症を頻発するとセリアック病発症リスクが30%も高まる
教育、子育て食
Posted on 2015.9.30
セリアック病は、小麦、大麦、ライ 麦に含まれるタンパク質の「グルテン」に免疫反応を起こし、酵素分解できずに残ったグルテンが小腸の上皮細胞を攻撃して炎症を起こし、この状態が悪化する と小腸の上皮細胞から栄養を吸収できなくなってしまう病気で、1980年以降に患者が急増し、欧米では人口の1%程度の患者がいると言われています。
ノ ルウェー公衆衛生研究所の研究結果によると、生後18か月の間に、10回以上の感染症を起こした子どもは、5回未満の感染症しか発症しなかった子どもに比 べて、30%もセリアック病を発症するリスクが高いことが明らかになり、2015年9月の『The American Journal of Gastroenterology』に発表されました。
この研究は、2000年~2009年の間にノルウェーで生まれた72,921人を 対象に調査した結果によるもの。調査期間に被験者のうち581人の子どもがセリアック病を発症し(およそ0.8%)、生後0~6か月で感染症を発症すると セリアック病になるリスクが高まること、さらに生後18か月までの間に、10回以上の感染症にかかると30%もセリアック病を発症するリスクが高まること がわかりました。胃腸感染症よりも、呼吸器系の感染症を繰り返す方が、発症リスクが高まっていたそうです。
以前から、セリアック病の発症 には、グルテンの過剰摂取が関係しているのではないかと推察されていましたが、それだけでなく、感染症を乳幼児期に繰り返すうちに、免疫システムに悪影響 が出て変質し、それでグルテンに免疫系が過剰に反応して、小腸に炎症を引き起こすために、セリアック病の発症リスクを高めているのではないかと分析してい ます。
Karl Mårild, Christian R Kahrs, German Tapia, Lars C Stene, Ketil Størdal. Infections and Risk of Celiac Disease in Childhood: A Prospective Nationwide Cohort Study. The American Journal of Gastroenterology, 2015