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砂浜の貝殻持ち帰りは環境に大ダメージ

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Posted on 2014.1.18

o0640042712815664064過去30年以上に渡り、私たち人間が、砂浜から貝殻を持ち帰ることで、世界的な環境被害が出ている可能性があることが指摘され、2014年1月8日号の科学雑誌『PLoS ONE』に掲載されました。この研究は、スペインのバルセロナ大学によるもので、研究者らは、バルセロナの南東にあるタラゴナのラグナビーチというリゾート地の海岸を、1978年~1981年と、2008年~2010年に調査したときのデータを比較調査しました。その結果、ラグナビーチ周辺は、30年前と比べて、観光客が約3倍も増加しており、この間に、海岸にある貝殻が、60%も減少していました。この影響で、海岸周辺の生態系への悪影響も確認されています。貝殻は、他の動物のすみかになったり、波にゆっくりと粉砕されたり、溶けたりすることで、砂浜を作ったり、ほかの生き物たちの栄養源にもなっています。「たかが貝殻…」と思って、人間が自分の思い出のために、貝殻を拾って持ち帰ったり、アクセサリーなどを作って販売する目的で大量に拾ってしまうことで、その海岸周辺の生態系は、著しく悪い影響を受けている可能性があると、研究者らは指摘しています。さらに、貝殻を拾って持ち帰る習慣は、スペインだけでなく、全人類共通の行動であり、観光客の急激な増加にともなう貝殻の持ち帰りで、全世界の海洋生態系に及ぼす影響を危惧し、安易に貝殻を持ち帰らないように呼びかけています。

Michał Kowalewski, Rosa Domènech, Jordi Martinell. Vanishing Clams on an Iberian Beach: Local Consequences and Global Implications of Accelerating Loss of Shells to Tourism. PLoS ONE, 2014