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高速道路の近くに住むと高血圧になる?!

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Posted on 2014.11.15

高速道路や交通量の多い幹線道路の近くに住んでいる人は、そうでない人に比べて22%も高血圧を発症するリスクが高いことが米国ブラウン大学の研究で明ら かになり、2014年10月の『Journal of the American Heart Association』に発表されました。

これはサンディエゴ周辺に住む閉経後の女性5400人のデータをもとに分析したもの。これによると高速道路や幹線道路から100メートル以内の場所に住む人は、1000メートル以上離れた場所に住む人よりも22%も高血圧になるリスクが高いということです。

も う1つの研究をご紹介します。大気汚染によって、脂肪細胞から分泌される「レプチン」という物質が過剰になることで、交感神経を高めて、血圧の上昇、心臓 病、糖尿病のアドのリスクを高めている可能性があることが、前の研究と同じブラウン大学などによって明らかになり、2014年9月の『 Journal of Occupational and Environmental Medicine』で発表されました。

これはボストンに在住する 高齢者765人の健康状態と生活環境に関して調べたもので、クルマの排気ガスから排出される大気汚染のひとつである「黒色炭素(ブラック・カーボン)」の レベルが高い地域に住む高齢者は、そうでない高齢者に比べて、交感神経の働きを高めて、血管を収縮させ、高血圧を引き起こす原因にもなる「レプチン」のレ ベルが、27%も高いことが明らかになりました。

「黒色炭素(ブラック・カーボン)」は、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスのうち で、「二酸化炭素」、「メタンガス」に次いで3番目に影響の強いガスで、物質を燃やした時に出る黒い煤(すす)のことです。最近問題になっている PM2.5などの微小粒子にも含まれ、体内に取り込まれると、なかなか処理・排出できずに、体内に蓄積して、呼吸器や循環器への悪影響が危惧されていま す。

Yi Wang, Melissa N. Eliot, George A. Kuchel, Joel Schwartz, Brent A. Coull, Murray A. Mittleman, Lewis A. Lipsitz, Gregory A. Wellenius. Long-Term Exposure to Ambient Air Pollution and Serum Leptin in Older Adults. Journal of Occupational and Environmental Medicine, 2014; 56 (9): e73