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人の世話をする高齢者は長生き

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Posted on 2017.1.3

スイスのバーゼル大学、オーストリアのエディス・コーワン大学、西オーストラリア大学、ドイツのフンボルト大学、マックス・プランク・ヒューマン・ディベロップメント研究所の研究によると、孫の世話など、人を助けたり、人の世話をする高齢者は長生きすることが明らかになり、2016年12月の科学雑誌『Evolution and Human Behavior』で報告されました。

この研究は、1990年~2009年までに収集された「ベルリン加齢研究(BASE)」のデータを利用して、70歳~103歳までの500人の生活習慣について分析したもの。研究では、「時々孫の世話をした祖父母グループ」、「孫の世話をしなかった祖父母グループ」、「子どもや孫はいないが、他人の世話をしたグループ」などに分類して比較しました。

 その結果、血縁の有無にかかわらず、他者の世話をした高齢者は、世話をしなかった高齢者よりも長生きであることがわかりました。ただし研究者らは、過去の複数の研究で、育児へのより深い関与はストレスを引き起こし、肉体的にも精神的にも悪影響を及ぼすという報告があることも忘れないようにと述べています。

Sonja Hilbrand, David A. Coall, Denis Gerstorf, Ralph Hertwig. Caregiving within and beyond the family is associated with lower mortality for the caregiver: A prospective study. Evolution and Human Behavior, 2016