コラムColumn
人はなぜ睡眠不足で不機嫌になるか?
その他
Posted on 2009.7.15
米国・ハーバード大学医学部と、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームによると、睡眠不足状態は、嫌な出来事に直面したとき、脳の情動(感情)中枢に過剰な反応を引き起こす原因となることがわかりました。この研究は、26人の健康な被験者を、普通に睡眠をとるグループと、眠らないグループに分け、35時間経過した後、FMRI(機能的磁気共鳴画像法)によって脳の活動状態が測定されました。画像を分析した結果、不眠を強いられたグループは、普通に睡眠をとったグループに比べ、被験者たちの前頭葉(感情をコントロールする領域)の活動が非常に低下していました。一方で、感情に反応する領域の活動は60%以上も活発だったことがわかりました。そのため、脳がより原始的な状態に引き戻され、理性よりも情動に突き動かされるようになり、嫌なことに対して過剰に反応してしまうのだそうです。これについて研究チームは、“睡眠不足が不機嫌や負の情動を招く”ということが脳神経科学的に初めて証明されたとしています。
(Current Biology 2007年10月23日号)