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「健康的な街」が糖尿病リスクを下げる

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Posted on 2009.10.22

 
アメリカフィラデルフィアのドレクセル大学エイミー・オーキンクロース博士らが10月12日付の『Archives of Internal Medicine』で発表した内容によると、運動施設や健康的な食生活を送れる住環境が2型糖尿病のリスクを下げるそうです。

この研究はボルチモア、ブロンクス、ノースカロライナのウインストン・セーラムの3都市でそれぞれ異なる環境に住む住民のうち、45歳以上の2285人を対象に2000年から2002年に健康チェックを行い、その後18ヶ月ごとに定期的に健康チェックが行われた結果をもとに分析したそうです。

結果については、健康的な住環境に住む住民のBMIが、そうでない不健康な住環境に住む住民のBMIよりも5ポイントも低かったこと(つまり健康的な住環境に住むと、肥満になりにくいことが糖尿病のリスクを引き下げているかもしれないこと)と大きく関連しているようです。

追跡調査の結果、全体の被験者の約10%が2型糖尿病を発症し、最も健康的なエリアに住む住民の糖尿病の発症率は7%にとどまったのに対し、最も不健康なエリアに住む住民の発症率は13%と高かったそうです。

この結果について、サンフランシスコ公衆衛生局のミッチェル・カッツ博士も、健康的な生活を望む人々には、健康的な住環境を選択する傾向がすでにあることを指摘しています。

しかしながらカッツ氏は、もっと健康的な場所に住もうと動機付けるように人々を考え直させることは不可能であるとも述べています。

また実際のアメリカの住環境に関して、安全にウォーキングをしたり、健康的な食品を手に入れることが難しく、むしろ人に動機付けをするよりも、環境を再整備することのほうが価値があることだといいます。

さらに、ちょっと以前はクルマに現在ほど依存せず、駅や公共の交通機関の施設まで歩いていたことなど、ライフスタイルの変化も影響しているとカッツ氏は考えています。

オーキンクロス博士らは、歩道を広げて、歩いたり走ったりしやすいように街を整備したり、加工食品ばかり食べないように、地域の農民による朝のマーッケットを定期的に開いて、野菜や果物を食生活に取り入れやすいように、街づくりを考え直すべきだと指摘しています。

Primary source: Archives of Internal Medicine