コラムColumn
大気汚染は重症の肺炎リスクを高める
その他
Posted on 2009.12.28
カナダオンタリオ州のマクマスター大学マーク・ローブ博士らが、『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』に発表した研究によると、二酸化窒素、二酸化イオウ、微小粒子状物質(粒経2.5μm未満の粒子)などが、高齢者の重大な肺炎などのリスクを高めていることが判明しました。
以前から大気汚染は喘息、肺の慢性疾患、呼吸器不全などと関連があることは指摘されていましたが、高齢者の肺炎との関係はあまり指摘されていませんでした。
これは2003年から2005年の間に、大学のあるオンタリオ州ハミルトンの65歳以上の肺炎患者395人と、健常者494人の居住地域などを比較研究したもの。
ハミルトンは鉄鋼を中心とした工業地帯があるそうです。
研究者によると、長期間二酸化窒素と微小粒子状物質に汚染された可能性が高いエリアに居住している人はそうでない人に比べて、重傷の肺炎になる可能性が約2倍も高いことが分かったそうです。(二酸化窒素は2.3倍、微小粒子物質は2.26倍)。
結果について博士らは、二酸化窒素が上皮細胞を傷つけてしまう性質を持つことから、これによって肺の粘膜絨毛による外敵からの防御力を低下させてしまい、気管支内のマクロファージやNK細胞の減少を引き起こし、最終的には細菌感染を起こしやすくなって肺炎を起こすリスクも高まってしまうと考えられるそうです。
ただし今回の調査では室内の空気の環境や自動車による大気汚染など、大気汚染の汚染源については調査していないとのこと。
Primary source: *American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Source reference: Neupane B, et al "Long-term exposure to ambient air pollution and risk of hospitalization with community-acquired pneumonia in older adults" /Am J Respir Crit Care Med/ 2009; DOI: 10.1164/rccm.200901-0160oc <http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/181/1/47>
二酸化窒素は、高温でものを燃やすときに、空気中の酸素と窒素が結合してできるのだったと思います。