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【メディカル】ギャンブル依存症の引き金は遺伝子にある?!
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Posted on 2010.6.23
遺伝子が男性と同様に、女性のギャンブル依存症の原因にもなることが、6月号の Archives of General Psychiatry に掲載されたミズーリ大学Wendy S. Slutske博士らの研究によって明らかになりました。
この研究はオーストラリアの双子2889組(32歳から43歳:平均年齢は38歳:57%が女性)に、ギャンブル依存や子供の頃に似たような経験があったかどうかを電話インタビューしました。
その結果、ほとんどすべての参加者がギャンブルを行った経験があり、半数が月に一度、3分の1が週に一度、何らかのギャンブルをすることが判明しました。全般的なギャンブル依存症の有病率は男性が2.2%~3.4%、女性が1.2%でした。一つ以上のギャンブル依存の傾向がある人は全体で12.5%、男女別に見ると男性は18.2%、女性は8.3%でした。研究者らは、男女差や環境因子がギャンブル依存症になりやすいかどうかに影響するというエビデンスはこの研究結果にはなかったということです。さらに統計学的なモデルを用いて分析した結果、遺伝子の影響によるギャンブル依存症の発症は49.2%と推定されました。
この結果は、うつ病やアルコール依存などに関する双子の大規模調査研究の結果によく似ており、ギャンブル依存は環境因子だけでは説明のつかないものが多いそうです。つまり家庭環境は親の持つ遺伝子に影響を受けているので、環境因子と遺伝因子は密接に関連していることを考慮すべきだと述べています。今回の調査は母数も少なく、年齢に偏りもあるため、さらに大規模な調査を進めて行く予定だそうです。