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【メディカル】放射線被曝は一次がんと二次がん発症リスク増加に同様の影響を与えることが広島、長崎の被爆者調査で明らかに!
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Posted on 2010.9.17
米国・ワシントン州シアトルにあるワシントン大学准教授で、フレッド・ハッチンソン癌研究所(Fred Hutchinson Cancer Research Center)の研究員でもあるChristopher I. Li博士と、財団法人放射線影響研究所(広島と長崎にあります)の主席研究員である児玉和紀博士らがCancer Research 9月15日号に発表した共同研究で、広島、長崎の原爆被爆者のがん発症リスクに関する調査から、放射線被曝の影響は、一次がんの発症リスクのみならずその後の二次がんの発症リスクの増加にも同様の影響を与えていることが明らかになりました。
准教授らは放射線被曝が、がんの発症リスクに具体的にどの程度まで影響を与えているのかがこれまであまり明確にされてこなかったことから、その影響度を調査するため1950年から開始された広島、長崎の原爆被爆者調査のうち、2002年に実施された調査対象者77752人のデータを分析しました。その結果、調査対象の被爆者中14048 人が一次がんを発症しており、さらに継続データが得られた10031人の一次がん成人者のうち、1088人が二次がんも発症していました。データを統計的に解析した結果から、准教授は被爆の影響は一次がん、二次がんで変わりはなく、放射線被曝の経験のある一次がん生存者は、その後も二次がんの発症に対して継続的にモニターし続ける必要があることが明らかであるとしています。
また、職業的な放射線被曝の限界量や原発事故、敵に対する放射線被曝を目的とした放射能汚染爆弾(イラクで使用された可能性が指摘されています)などの被爆への対応などにも、こうした研究が非常に重要なものであり、データを提供した日本の放射線影響研究所と共同研究者に深甚なる感謝をするとしています。