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【ライフスタイル】音楽が聴きたくなるのには生物学的に理由がある!
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Posted on 2011.3.3
フィンランド・ヘルシンキ大学のIrma Järvelä教授らと、シベリウス・アカデミーの研究者らがJournal of Human Genetics.2011年2月10日オンライン版に発表した共同研究で、我々が音楽を聴きたくなるのは、単なる文化的嗜好ではなく、生物学的な背景を持つ形質であり、人間の持つ社会的な親和欲求と、コミュニケーションに作用する神経生物学的な経路に関係していることがわかりました。
教授らは音楽を聴くことに対する生物学的な根拠を調査することを目的に、被験者としてフィンランドの31組の家族、合計437人を調査しました。被験者の年齢は8歳から93歳、プロやアマチュアの音楽家から一切音楽教育を受けていない人まで幅広く存在しました。
調査内容はまず被験者が積極的に音楽を聴く時間(コンサートに行ったり、自分の好きな音楽を選んで聴くなど)と、単に受動的にBGMなどとして聴く時間の長さなどが調べられ、次に聴覚能力などに関する3つの音楽テストが実施され、さらにDNA分析のために血液サンプルが採取されるというものでした。
データを分析した結果、アルギニン バソプレシン レセプター 1A (arginine vasopressin receptor 1A AVPR1A)遺伝子ハプロタイプと、積極的に音楽を聴こうとする態度に、有意に相関があることが明らかになりました。
教授らはAVPR1A 遺伝子は、これまでの研究で、人間や他の生物において社会的コミュ二ケーションや愛着行動に関与していることがわかっており、今回の研究から音楽を聴く態度に関しても、この遺伝子が関与しており、分子生物学的レベルでこのことが証明されたとしています。