コラムColumn
【メディカル】 仕事と家庭の葛藤-米国では問題の責任はどこに帰されているか?
その他
Posted on 2011.6.9
女性の職場進出が進んでいる米国では共働き家庭が増え、また家庭を大事にする米国では、男性にとっては日本以上に仕事と家庭の葛藤場 面が多いことは容易に想像できます。被雇用者の労働の質を向上させ、生産性を高めるために以前から米国では働く人々のストレスの原因のひとつである、仕事 と家庭の葛藤に目が向けられ多くの研究が発表されています。
この問題に関して米国・Indiana University-Purdue UniversityのElizabeth M. Poposki博士がGroup & Organization Management 2011年5月31日オンライン版に発表した研究では、米国人が仕事と家庭の葛藤に直面した場合、その問題の責任を、どこに帰して いるのかが明らかになりました。
博士は269人の調査対象者(男女含む平均年齢43歳、1週間の労働時間は平均45時間、全員が大学卒業、 さらに約半数が大学院以上の学位、配偶者の3分の2は少なくともパートタイムかそれ以上の仕事に就いている)に対して、毎日の仕事と家庭の葛藤に関し、そ の葛藤が生じた原因について、どこに責任があってそうなったと考えているのか、詳細に調査しました。
調査の結果、葛藤が生じた責任が仕事に のみ帰せられる場合が64%、家庭での役割にのみ帰せられる場合が22%、仕事と家庭以外の別の外的要因が5%、仕事と家庭の両方に帰せられる場合はわず か3%で、また葛藤の原因と責任が自分自身に帰せられる場合は6%に過ぎず、以上の割合に男女差はありませんでした。
葛藤の責任が仕事などの外的要因に帰せられる場合には、葛藤の生じた後に怒りやフラストレーションを感じることがより多く、こうしたことが職場でマイナスの結果をもたらすことに結びついていることも明らかになりました。
また仕事と家庭の葛藤で責任が帰せられるのは出来事の順番で最後に生じた出来事に責任が帰せられやすいこともわかりました。博士はこの研究結果を、仕事と家庭の葛藤から生じるストレス、怒りやフラストレーションを、いかに減らすかの研究につなげたいとしています。