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【ライフスタイル】農耕生活初期の人類は狩猟採集時代より健康状態が悪化し低身長になっていた!
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Posted on 2011.6.24
人類が狩猟採集生活から農耕生活に移行したことで、定住し生産力が向上し、文明化が進んだと歴史では教えられているため、我々は農耕により食料が安定的に確保でき、生活水準が豊かになったのだから、人類はそれ以前に比べ、より健康になったと考えがちです。
し かしながら米国・ジョージア州アトランタ市エモリー大学のGeorge Armelagos教授らがEconomics and Human Biology 2011年6月号に発表した研究では、約1万年前に人類が狩猟採集生活から、農耕中心の生活に変わった初期の移行期の頃、居住地域や主な 生産穀物に違いがあっても、人類は共通して狩猟採集生活時代よりも、健康状態が悪化し、その結果、身長が低くなっていたことが明らかになりました。
教 授らはこれまでに発見され分析された新石器時代の人骨についての研究データを、古病理学的に解析しました。その結果、この移行期である農耕初期の人類は、 アフリカ、ヨーロッパ、中東、アジア、南北アメリカ、いずれの地域においても、それ以前の狩猟採集時代の人類よりも身長が低くなっていました。
教 授らによると新石器時代の定住農耕生活により、人口密度が増加し、感染症が以前よりも人類に蔓延したこと、また農耕初期の頃は単一の穀物に依存したため、 栄養が偏りがちで必須栄養素不足による栄養障害が生じやすかったこと、単一の作物であるため、病害などで収穫できない場合の飢饉による栄養不良になりがち であったこと、また歯科疾患が増加したこと、などから人口は増大したものの、それ以前の狩猟採集生活時代よりも、全般的に健康状態が悪化したことによって 身長が低くなったと考えられるということです。