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【ライフスタイル】レム睡眠行動障害はパーキンソン病のリスク要因!
その他
Posted on 2011.8.3
スペイン・バルセロナ大学のEduard Tolosa教授らが、The Lancet Neurology 2011年7月29日オンライン版で発表した研究で、レム睡眠行動障害がパーキンソン病の発症に繋がるリスク要因であり、先行指標と考えられることが明らかになりました。
レム睡眠行動障害はレム睡眠時に体が動き出してしまう睡眠障害で、通常であれば夢で見たことを行動に起こすことはありませんが、このレム睡眠行動障害の場合は、何らかの原因で筋緊張の抑制が障害されて、夢で見たことをそのまま行動に移してしまいます。
例えば隣で寝ている妻を殴ってしまったり、大きな声で叫んだり泣いたりするなどの異常行動があり、そして睡眠時の異常行動中に覚醒させると、異常行動が本人の見ていた夢と一致する、という症状を呈します。
教授らはこのレム睡眠障害の患者がパーキンソン病を発症しやすいこと発見し、継続的に研究してきました。今回発表された研究で教授らは、20人のレム睡眠行動障害の患者(平均年齢70.55歳)と、対照グループとしての20人の健康な被験者(平均年齢69.50歳)に対して、脳血流スペクト検査などを3年間継続して実施し、その変化を分析しました。
パーキンソン病患者は脳の黒質のドーパミンが欠乏し、それによって振戦(ふるえ)や硬直が生じることが知られていますが、データを分析し結果、健康な対照グループ被験者の脳黒質のドーパミンは3年間の加齢に相応して8%減少したに過ぎませんでしたが、レム睡眠行動障害の患者では20%も減少していました。
そして3年間の間に被験者だった20人のレム睡眠行動障害の患者のうち3人がパーキンソン病を発症し、彼らの脳の黒質のドーパミンは、30%も減っていることが明らかになりました。
教授らはこの研究結果からレム睡眠行動障害の患者に、パーキンソン病を発症させないための神経保護薬の効果を、脳血流スペクトの技法を用いて評価できることがわかったので、このドーパミン減少を防止するために効果的な神経保護薬の開発が急務であるとしています。