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【メディカル】近視に関わる遺伝子が特定された!

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Posted on 2011.9.15

kinsiイスラエル・ベングリオン大学のOhad Birk教授らが、American Journal of Human Genetics 2011年9月1日オンライン版に発表した研究で、近視の原因がLEPREL1という遺伝子の変異にあることが明らかになりました。
近視は最も一般的な視覚障害であり、その発症に遺伝的要因が大きく関わっていることが知られています。また近視は網膜剥離や黄斑変性、早発性の緑内障、白内障などの発症リスクを高めていることも知られています。
しかしながら、これまで近視が遺伝によることはわかっていても、どの遺伝子が関与しているのかは、特定されていませんでした。教授らは南イスラエルに住むベドウィンのある部族に、重篤かつ早発性の近視が多いことから、彼らの遺伝子を徹底的に分析することで、原因となる欠損した遺伝子を特定しました。
教授らによると、このLEPREL1という遺伝子は、眼球のコラーゲンの最終形態を形成するために、必要不可欠な酵素をコード化する遺伝子で、この酵素の活性体がないと、異常なコラーゲンが作られて、人間の眼球が通常よりも長くなり、楕円になってしまいます。その結果として、目に入った光の焦点が網膜ではなく網膜よりも前で焦点が合ってしまい、近視になるというわけです。
教授らはこの研究結果を踏まえて、さらに多くの被験者を対象に近視を引き起こす原因となるこの遺伝子の役割と、更に重要な機能を果たしている、ほかの遺伝子がないのかどうか研究する必要があるとしています。