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【メディカル】世界の医療制度と病院事情トピックス

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Posted on 2011.12.29

レントゲン1枚10万円、撮影に2か月待ち。医療費が払えず自己破産する人が続出。救急車を呼ぶと3万円・・・などなど、 世界の医療や病院事情をご紹介しよう。
【ギリシャ発】経済破綻で国民の健康も破綻
2011 年10月の英国医学雑誌『ランセット』オンライン版によると、昨年からギリシャの財政赤字問題が表面化し、EU各国の救済策や緊縮財政政策をとってきたに もかかわらず、一向に経済状況が改善せず、この影響で国民の健康状態が悪化していることが報告された(The Lancet Online, Oct. 2011DOI:10.1016/S0140-6736〈11〉61556-0)。
これにはギリシャ政府による大幅な医療費カットと失業による貧 困者層の増加が関係しており、病院に行く必要があっても行けない人、自殺者、麻薬中毒者、薬物依存者、性感染症患者、HIV感染者などが急増しており、国 の財政危機が国民の健康に、いかにダイレクトに影響するかを如実に物語っている。
【アメリカ発】国民皆保険を嫌うアメリカ
ア メリカではオバマ大統領が選挙公約に掲げた国民皆保険を実現すべく、2010年3月に「医療制度改革法案」が可決された。世界一医療費の高いアメリカで は、レントゲン1枚が約10万円もする。中産階級の自己破産の理由の第一位が「医療費の未払い」。もともと民間の医療保険が発達しているアメリカだが、す べての医療をカバーするには、4人家族で月に10万~20万円の保険料がかかる。安い民間医療保険なら月に4人家族で2万円弱だが、その場合、自分の好き な病院に通院することはできず、保険会社の指定した病院に行くことで、受けられる治療も限られている。
【アメリカ発】弱肉強食の資本主義の本質が医療制度に反映
国 民のうち4600万人が無保険者で、年間約4万4000人が医者に診てもらえずに死亡しているアメリカ。子供2人の4人家族で年収約2万ドル以下を貧困者 層とすると約4600万人が貧困者とカウントされ、無保険者の数と見事に一致する。こういった人々の救済策としてオバマ大統領が推進する「医療制度改革法 案」だったが、2010年12月にはバージニア州、2011年8月にはアトランタ連邦高等裁判所で「違憲」の判断が下され、2014年の発効が難航しそう だ。しかも2012年には大統領選挙があり、医療制度改革でオバマ大統領の人気も揺らぎ始めている。アメリカ国民の意向(本音)としては「富める者はいい 医療を受け、貧しき者は天命に従え」という結論のようで、弱肉強食の資本主義国としての本質を見事に露呈している。オバマ大統領は貧困者層の支持を得るた めに、富裕者層への増税による財政再建案を2011年9月に発表し、共和党議員や富裕者層からの激しい反発を買っている。
【アメリカ発】自由競争、社会福祉、企業主導、どれも一長一短……
そもそも世界の医療制度は3つのパターンに分類できる。まず1つめがアメリカを代表とする「自由競争型」で、医療も自由競争市場の原理を保ち、政府の介入を抑制するタイプ。国民健康保険と民間の医療保険が両立する。イギリス、カナダ、オーストラリアなどがその代表 例だが、アメリカ以外の国では、公的医療制度が充実する傾向にある。次にリベラル型とは逆に、医療政策に政府が大幅に介入し、医療を社会福祉の重要な政策 として扱っている「社会福祉型」は、スウェーデンやデンマークなど北欧の国々で行われている、医療費が一切かからないという制度。そのかわり、医療費を国 が賄えるように、税金が高い。そしてもうひとつが、企業の健康保険組合が医療保険を管理する「企業主導型」で、フランス、ドイツなどがその典型例。しかし失業率が上昇し、企業の健康保険組合に加入できないと、無保険者が増えてしまう。
【アメリカ発】実は世界的に、日本の医療制度は注目されている
日 本は「社会福祉型」と「企業主導型」が混在する医療システムで、世界的な評価では、制度的にも質的にも非常にいい医療サービスが受けられる国として世界的 にも評価が高い。しかし実際の国民の満足度は低い。リーマンショック以降、先進国は経済危機に直面し、医療費が財政を圧迫しており、どの国でも医療制度改 革が行われている。もちろん日本でも、医療制度改革が叫ばれている。
【参考:各国の救急車の費用】
アメリカ(ニューヨーク) 約6万円
カナダ(バンクーバー) 約5000円
イギリス(ロンドン)  無料
フランス(パリ) 約2万5000円
ドイツ 2万~7万円(救急車内での処置による)
イタリア 無料
オーストラリア 約2万円
ニュージーランド 5000 ~ 8000円
シンガポール 2000円(公営)、4000円(私営)
中国 約2000円
韓国 無料
日本 無料
【参考:各国の入院費(1日)】
アメリカ 10万~15万円
カナダ 約10万円
イギリス 2万円(一般病棟)、10万円(個室)
フランス 2万円(一般病棟)、7万円(個室)
ドイツ  2万~6万円
イタリア 約2万円
オーストラリア 4万~5万円
ニュージーランド 3万円
シンガポール 2万~3万円
中国 約2万円
韓国 2万~3万円
日本 2万~10万円