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【ライフスタイル】「高齢になって禁煙しても無意味」はウソ!

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Posted on 2012.6.15

受動喫煙を避けるために、身の回りの中高年愛煙家に、健康のためにと禁煙を勧めたりするとしばしば、何十年も吸い続けているんだから、今更やめてもどうせ元に戻らないし、肺がんになってもCOPDになっても、自己責任なんだからほっといて欲しい、などと言い返されることがあります。
確かに今更やめても健康状態に影響がないならば、そのとおりかもしれませんが、科学的事実はそうではないことが明らかになりました。
ドイツ・ハイデルベルクのドイツがん研究所(DKFZ)の研究チームが、Archives of Internal Medicine 2012年6月11日号に発表した研究で、高齢者であっても喫煙を続ければ死亡リスクが増加し、禁煙すれば死亡リスクが低下することが明らかになりました。
喫煙はさまざまな慢性疾患リスク、特に循環器疾患やがんリスクを増加させること、そして死亡リスクを増大することが明らかになっていますが、研究データが主に中年期の成人から得られたものが多かったことから、研究チームは高齢者の場合に関して、喫煙を継続した場合と、禁煙した場合の健康リスクに関してデータを分析しました。
koureitabakoこれまでに発表された7カ国で実施された(米国、日本、中国、オーストラリア、英国、スペイン、フランス)17の研究データをメタ分析した結果、現在喫煙している人は、全く喫煙したことのない人の2倍の、過去喫煙して禁煙した人では 1.3倍の死亡リスク増加があり、禁煙による死亡リスクの低下は、いかなる年代においても、禁煙期間の長さに比例して低下しており、これは高齢者であっても、また禁煙期間がわずかであったとしても変わりがないことがわかりました。
研究チームは、しばしば人生の最後に禁煙し、結局亡くなってしまう高齢喫煙者を目にするので、高齢者に喫煙を進めても意味がないと思われがちだが、決してそのようなことはないので、高齢者に対しても禁煙を勧めるべきだとしています。