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【ライフスタイル】自己申告は先に署名させてから回答させるほうが正直な答えが得られる!
その他
Posted on 2012.9.22
一般生活者が日常生活で、しばしば経験する申告書の類で、とりわけ正直に回答することが求められるものとして税関の申告や保険加入時 の健康状態の告知などが思い浮かびますが、こうした自己申告で正直さを求められるものに回答してもらう場合、最初に署名させてその後に回答させたほうが、 回答を記入し終えた後に署名させるよりも、正直な回答が得られることがハーバード・ビジネススクールの Max H. Bazerman博士らがProceedings of the National Academy of Sciences 2012年8月27日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。
博士らはいくつかの実験を行い、その結果から上 記の結論に達したということです。中でも最大規模のものは13.000人以上の自動車保険加入者に対する申告書の回答時の比較で、先に署名をさせ、回答さ せた場合のほうが、後から署名させた場合よりも平均3907kmも長い年間走行距離で答えており、これは平均年間走行距離の10%、金額ベースで48ドル 保険料が高くなる回答だったということです(米国では走行距離や使用目的など細かい情報に基づき個別に自動車保険量が算定されるシステム)。
博 士らは、これまでの研究で人は自己の行った不正直な行動に自分自身が直面することを避けるためにいろいろな方法で自分自身に取り繕う、自己欺瞞を行いやす い傾向があることがわかっているが、今回の結果からウソをつけるような状況の直前に自己認識を新たにする機会(例えば今回の署名)を設けられるとそれが きっかけとなって道徳感情も喚起しウソをつきにくくなることが明らかになったとし、倫理規定や宣誓書に署名させるのは回答が終わってからでは遅すぎるのだ と結論付けています。