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呼気でその人のストレス度を測定する新たな検査法が見つかった?!

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Posted on 2013.3.6

 

呼気検査といえば飲酒運転の検問で使用されるアルコール検査が良く知られていますが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのPaul Thomas教授らが、Journal of Breath Research 2013年3月号に発表した研究で、呼気を検査するだけで、被験者のストレス度を測定できる方法が、開発可能であることが、明らかになりました。

教授らは青年22人(男性10人女性12人)を被験者として実験を行いました。被験者は実験を通してずっと心拍数と血圧が測定され、開始時点で呼気のサンプルが採取されました。

そして被験者に対し、ストレスを誘発することで知られている暗算テストが実施され、この暗算テスト終了後に、再度呼気サンプルが採取されました。

呼気サンプルはガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて詳しく分析されました。

データを詳しく解析した結果、ストレスにより呼気中の6つの物質の増減が確認されました。

暗算テストによるストレスを受けた後の呼気には、開始時点よりも「2メチルペンタデカン」と「インドール」という物質が増加しており、また4つの物質が開始時点よりも減少していました。

教授らは今回の結果がわずかな人数と限定されたストレス環境によるものであることから、もっと多くの被験者によって、さまざまなストレス状況での調査をする必要があるが、呼気のストレスマーカーで、その人のストレス度が測定できるようになれば、言語機能を失った人や、認知症の患者のストレス度を測定したりできるようになって、介護にも役立つことも考えられるなど、利点がたくさんあるので、実用化へ向けてさらに研究を進めたいとしています。

Journal of Breath Research 2013年3月号