コラムColumn

コレステロール値は季節に影響される!

その他

Posted on 2013.3.11



高い血中コレステロール値が生活習慣病、特に動脈硬化や心血管疾患、脳卒中リスクを高めることは良く知られていますが、ブラジル・カンビナス州立大学のFilipe Moura医師が米国・サンフランシスコ市で2013年3月9-11日に開催された第62回米国心臓学会議(ACC2013)で発表した研究で、この血中コレステロール値が季節の変化に伴い、変動していることが明らかになりました。

研究チームはこれまでの研究で、心臓発作や心臓関連死が冬季に多いことが明らかになっていることから、心血管リスク因子である高コレステロールも同様に季節によって変動するのではないかと考え、ブラジル・カンビナス市で2008-2010年に健康診断を受けた227.359人の血中コレステロールのデータを分析しました。

その結果、LDL(悪玉)コレステロール値が冬は夏に比べて平均7mg/dL上昇していることが分かりました。Moura医師によると、この上昇平均値はさほど大きな値ではありませんが、推計で冬は夏に比べて高コレステロール血症と診断される人が8%増加することになることを示しているということです。

逆に夏はHDL(善玉)コレステロール値が上昇していました。Moura医師は調査を行ったカンビナスはブラジルの高地にあり比較的夏と冬の気候変動が少ないにもかかわらず、こうした結果が出ていることから、夏と冬の差が大きいヨーロッパや北米などは、より大きなコレステロール値の変化がある可能性があると指摘しています。

そしてこうした変化の背景には、冬は寒いために脂肪分の多い高カロリー食品の摂取が増加することや、運動不足になりがちなこと、そして日照時間が短いためにHDLとLDLの比率を改善するビタミンDが減少することなどがあるのではないかとしています。

"Seasonal Variation of Lipid Profile and Prevalence of Dyslipidemia: A Large Population Study" Filipe Moura
第62回米国心臓学会議(ACC2013)