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新型コロナウイルスの基本再生産数2.2から3.28へと上昇か?
その他病気
Posted on 2020.2.16
日本での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が本格化しつつあります。2020年2月15日、厚生労働省は、和歌山、愛知、千葉、北海道、神奈川の少なくとも5地域で感染経路が追えない国内感染が起きていることについて言及し、国内感染が新たな局面に入ったとの認識を発表しました。
そんな中、スウェーデンのウメオ大学などが、信頼性の高い12のコロナウイルス関連の研究論文をもとに、最新の基本再生産数(Basic reproductive number)を算出したところ、WHOが発表した基本再生産数2.2(1.4~2.5)という数値よりも、発症件数が増えたことで大幅に上がり、平均で3.28、中央値で2.79であることを指摘し、2020年2月13日の『Journal of Travel Medicine』で発表されました。
基本再生産数値は「1人の感染者が未感染集団に入ってきたときに,伝染性をもつ期間において平均何人に感染を引き起こすか」を示します。基本再生産数が1未満であれば感染は収束し、1以上であれば拡大します。
研究者は、新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、現状では、既にSARSよりも高い基本再生産数である可能性があることを認識すべきではないかと述べています。
【出典】
Ying Liu, Albert A Gayle, Annelies Wilder-Smith, Joacim Rocklöv. The reproductive number of COVID-19 is higher compared to SARS coronavirus. Journal of Travel Medicine, 2020; DOI: 10.1093/jtm/taaa021