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ウイルスへの恐怖心がパニック買いを引き起こす

その他心理

Posted on 2020.6.15

2020年3月にヨーロッパと北米に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が急速に広まった後、
多くの人々がトイレットペーパー、キッチンペーパー、ティッシュペーパー、アルコール消毒液、
マスク、ハンドウォッシュ、食品などの備蓄を始めました。
各国政府からは「パニック買い」を控えるようにと国民に呼びかけにもかかわらず、
トイレットペーパーの売り上げが最大700%増加したと報告しています。

トイレットペーパーのパニック買いに関するドイツのマックスプランク進化人類学研究所が行った研究が

2020年6月の『PLOS ONE』に掲載されました。
マックスプランク進化人類学研究所ではトイレットペーパーのパニック買いに関する研究として、
ソーシャルメディアを通じて35か国1,029人の成人を対象に調査を行いました。
その結果、トイレットペーパーの備蓄の最も強力な予測因子は、「パンデミックに対する脅威」でした。
つまりより強い脅威を感じた人ほど、より多くのトイレットペーパーを備蓄する傾向がありました。
さらに多くのことを心配し、不安を感じる傾向が強い、慎重、勤勉、完全主義、組織の規律を守る、
完全主義などの傾向が強いことも、より多くのトイレットペーパーを備蓄しようとする行動に結びつくそうです。
他の要因としては、高齢者は若い人よりもトイレットペーパーを多く備蓄し、
アメリカ人はヨーロッパ人より多く備蓄したことも明らかになりました。
COVID-19に関するパニック買い行動の心理学的研究はまだ少なく、今回の研究成果は一側面に過ぎず、
今後たくさんの研究分析を進めて、パニック買いに対する有効な対策を構築する必要があることを指摘しています。

【出典】

Lisa Garbe, Richard Rau, Theo Toppe. Influence of perceived threat of Covid-19 and HEXACO personality traits on toilet paper stockpiling. PLOS ONE, 2020; 15 (6): e0234232 DOI: 10.1371/journal.pone.0234232