コラムColumn

自然の中を散歩すると脳のストレス反応が低下

その他心理病気美容老化脳運動

Posted on 2022.9.27

ストレス解消のためには、交通量の多い都会を散歩するよりも自然の中を歩く方が脳へのリラックス効果があることが、ドイツのマックス・プランク研究所の研究で明らかになり、その研究内容が2022年8月の「Molecular Psychiatry」で発表されました。

この研究者、健康な成人63人に田園地帯での60分間の散歩と、ベルリンの交通量の多い商店街での60分間の散歩の前後に、fMRIを撮影し、脳活動の違いを比較しました。

その結果、田園地帯を散歩した後には、脳の「扁桃体」の活動が低下していることが確認されました。「扁桃体」は、ストレスを受けたときに、ストレスに対処するように全身に信号を送る役割を担っており、ストレスを受けたときに「扁桃体」の活動が活発になります。つまり田園地帯で散歩をしたほうが、脳がよりリラックスした状態になるということが確認されたわけです。

この結果について研究者は、短時間でも自然に触れるだけで扁桃体の活動が低下することから、自然の中を散歩することで、メンタルヘルスの問題が発生するのを予防し、都市が脳に及ぼす不利な影響を緩和できる可能性があることが示唆されたと指摘します。さらに、市民の精神的健康と福祉を向上させるために、都市にアクセスしやすい緑地を作成する都市設計政策の重要性も指摘しています。

【出典】Sonja Sudimac, Vera Sale, Simone Kühn. How nature nurtures: Amygdala activity decreases as the result of a one-hour walk in nature. Molecular Psychiatry, 2022; DOI: 10.1038/s41380-022-01720-6