コラムColumn
幸せにお金はそれほど必要ではない
その他心理
Posted on 2024.4.25
金銭収入が非常に低い社会の多くが、裕福な社会に匹敵するほど、高い生活満足度を持っていることがスペインバルセロナ自治大学の研究で明らかになり、2023年2月の「Proceedings of the National Academy of Sciences」に研究成果が発表されました。経済成長が低所得国の人々の幸福度を高める確実な方法として規定されてきた今までの戦略に疑問を投じる結果が出たことになります。
この研究は、世界各地19か所の先住民および地域社会の2,966人を対象として行われました。 調査対象世帯のうち、現金収入があった世帯はわずか 64% でしたが、驚くべきことに、金銭収入が非常に低い多くの人々が、裕福な国の人々と同様の生活満足度スコアで、非常に高い平均レベルの生活満足度を報告していることが判明しました。研究対象となった19カ所の平均生活満足度スコアは、0 ~ 10 のスケールで 6.8 でした。 このうち4カ所で8.0という高い生活満足度を示しました。
この結果について研究者は、 収入と生活満足度の間に観察される強い相関関係は普遍的ではなく、人間が幸せな生活を送るためには、先進国経済によって生み出されるような富が、基本的に必要ではないことを証明していると述べています。
【出典】Eric D. Galbraith, Christopher Barrington-Leigh, Sara Miñarro, Santiago Álvarez-Fernández, Emmanuel M. N. A. N. Attoh, Petra Benyei, Laura Calvet-Mir, Rosario Carmona, Rumbidzayi Chakauya, Zhuo Chen, Fasco Chengula, Álvaro Fernández-Llamazares, David García-del-Amo, Marcos Glauser, Tomas Huanca, Andrea E. Izquierdo, André B. Junqueira, Marisa Lanker, Xiaoyue Li, Juliette Mariel, Mohamed D. Miara, Vincent Porcher, Anna Porcuna-Ferrer, Anna Schlingmann, Reinmar Seidler, Uttam Babu Shrestha, Priyatma Singh, Miquel Torrents-Ticó, Tungalag Ulambayar, Rihan Wu, Victoria Reyes-García. High life satisfaction reported among small-scale societies with low incomes. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2024; 121 (7) DOI: 10.1073/pnas.2311703121