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難聴は認知症リスクを高める
その他病気老化脳
Posted on 2024.6.14
難聴が認知症リスクを高めることが南デンマーク大学の研究で明らかになり、2024年1月の「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」に研究成果が掲載されました。
この研究は573,088人からのデータを対象とした難聴と認知症の発症との関連性についての研究で、この類の研究としては最大規模のものとして注目されています。
研究の結果、難聴のある人は正常な聴力を持つ人に比べて認知症を発症するリスクが最大13%高いことを示しており、難聴の重度が高い人ほど、認知症のリスクが高いことが明らかになっています。さらに補聴器を着用していない人の認知症発症リスクは、正常な聴力を持つ人に比べて20%高く、補聴器を使用することによって、認知症発症リスクは6%増加に留められることも明らかになりました。
また米国南カリフォルニア大学の研究では、補聴器を定期的に使用している難聴のある高齢者は、補聴器を使わない人よりも死亡リスクが24%低いことが明らかになり、2024年1月の「The Lancet Healthy Longevity」で報告されています。米国では、約4000万人が難聴に苦しんでいますが、補聴器を使用しているのは、難聴者の 10人に1人だという調査結果も報告されています。
以上のように「聞こえ」は脳機能を維持するために重要で、たとえ聴力が低下しても、補聴器をつけることで、認知症は予防できることが明らかになっています。
【出典】 Manuella Lech Cantuaria, Ellen Raben Pedersen, Frans Boch Waldorff, Lene Wermuth, Kjeld Møller Pedersen, Aslak Harbo Poulsen, Ole Raaschou-Nielsen, Mette Sørensen, Jesper Hvass Schmidt. Hearing Loss, Hearing Aid Use, and Risk of Dementia in Older Adults. JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery, 2024; DOI: 10.1001/jamaoto.2023.3509
【出典】
Janet S Choi, Meredith E Adams, Eileen M Crimmins, Frank R Lin, Jennifer A Ailshire. Association between hearing aid use and mortality in adults with hearing loss in the USA: a mortality follow-up study of a cross-sectional cohort. The Lancet Healthy Longevity, 2024; 5 (1): e66 DOI: 10.1016/S2666-7568(23)00232-5