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皮膚の微生物が肌老化に影響

その他女性美容老化

Posted on 2024.7.1

皮膚の老化に皮膚に生息する微生物の集合体である「皮膚マイクロバイオーム」が関係していることが、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究で明らかになり、2023年1月の「Frontiers in Aging」に研究成果が発表されました。

過去の研究で紫外線を浴びるなどの外的要因が皮膚老化に及ぼす悪影響については、十分に確認されていました。 人は年齢を重ねたり、太陽の下で過ごす時間が長くなると、皮膚は乾燥し、しわが増えやすくなります。

今回の研究成果によると、皮膚の老化が私たちの皮膚に生息する微生物の集合体である「皮膚マイクロバイオーム」と関係しており、年齢とは関係なく、皮膚の老化を促す微生物を特定することも将来的に可能になると述べています。

この研究では、ロレアル研究所が過去に実施した13の研究で収集された皮膚のサンプリングデータと臨床データをカリフォルニア大学が中心となって分析しました。サンプルは 18歳から70歳までの650人以上の女性が対象でした。

研究者は、目じりのしわなどの皮膚の老化の兆候に関連する皮膚の部位の微生物と、単純に年齢に関連する皮膚に生息する微生物を年代順に区別することに成功しました。

分析の結果、皮膚マイクロバイオームの多様性と、一般に皮膚の老化の重要な兆候の1つと見なされているカントン横線(目尻のしわ)との間に正の関連性があることを発見しました。さらに、マイクロバイオームの多様性と、皮膚を通して蒸発する水分の量である経表皮水分損失量との間に負の相関関係があることを発見しました。また研究者らは、皮膚老化を促進する微生物や皮膚の乾燥を促す働きを持つ微生物などを特定することができました。

研究者は、この研究成果は皮膚マイクロバイオームと皮膚老化との関連性をより深く理解するための次の研究への指針を与えて、皮膚老化予防関連の新しい治療やスキンケア開発などに応用できる可能性を指摘しています。

【出典】 Tyler Myers, Amina Bouslimani, Shi Huang, Shalisa T. Hansen, Cécile Clavaud, Anissa Azouaoui, Alban Ott, Audrey Gueniche, Charbel Bouez, Qian Zheng, Luc Aguilar, Rob Knight, Magali Moreau, Se Jin Song. A multi-study analysis enables identification of potential microbial features associated with skin aging signs. Frontiers in Aging, 2024; 4 DOI: 10.3389/fragi.2023.1304705