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怒りを抑えるには深呼吸!

その他心理教育、子育て脳

Posted on 2024.11.15

怒りを抑えるためには、その怒りを吐き出すのではなく、深い呼吸などをすることの方が効果的であることが、米国オハイオ州立大学の研究で明らかになり、2024年3月の「Clinical Psychology Review」に研究成果が掲載されました。

この研究は、10,189人を対象として行った154件の先行研究を分析した結果、怒りを減らすために本当に効果があるのは、生理的興奮を下げること、つまり熱を下げることであることを発見しました。一方で全体的に興奮を高める活動は怒りに影響を与えず、一部の活動、特にジョギングは怒りを悪化させてしまうことも判明しました。

全体的に怒りを抑えるのに効果的だった方法には、深呼吸、リラクゼーション、マインドフルネス、瞑想、スローフローヨガ、漸進的な筋弛緩、横隔膜呼吸、タイムアウトなどが含まれています。

研究のきっかけは、怒りの感情を処理するために全力で物(ガラス、皿、電子機器など)を壊すことを促進する「レイジルーム」の人気の高まりに触発されたことだそうです。

研究者は、これまでの怒っているなら感情を吐き出さなければならない、胸から感情を吐き出すべきだという通説を打破することが非常に重要だと指摘しています。

さらに研究者は、 怒りに対処するために、必ずしも認知行動療法士の診察を予約する必要はなく、携帯電話に無料でアプリをダウンロードしたり、 YouTube ビデオを見ることでも怒りを抑えることができると述べています。

【出典】 Sophie Lyngesen Kjærvik, Brad J. Bushman. A meta-analytic review of anger management activities that increase or decrease arousal: What fuels or douses rage? Clinical Psychology Review, 2024; 102414 DOI: 10.1016/j.cpr.2024.102414