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満腹になっても食べたい脳のメカニズム

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Posted on 2024.11.20

お腹いっぱい食事を食べた後、すぐにデザートや軽食を求めて冷蔵庫の中を探し回っていることに気づく人は、過剰な食欲によるものではなく、食べ物を求めるニューロンが過剰に活動している可能性があることが、米国カリフォルニア大学の研究で明らかになり、2024年3月の「Nature Communications」に掲載されました。

この研究はマウスを用いた研究結果によるもので、脳幹にある水道周囲灰白質(PAG)と呼ばれる適切な行動や自律神経活動をコントロールする領域の vgat PAG 細胞の活動が活発になることで、満腹になってもさらに食欲が出て食べ物を食べてしまう行動をとるようになることが判明しました。 vgat PAG 細胞が活発に働くようになるとマウスもヒトもパニック反応を引き起こすことが明らかになっています。

研究者は、vgat PAG 細胞が 過剰に活性化していると、食べることでよりやりがいを感じたり、空腹でないときに食べ物を欲しがったりする可能性があります。 逆に、この回路が十分に活性化していない場合、食べることに伴う喜びが減り、拒食症につながる可能性があるとのべています。

【出典】Fernando M. C. V. Reis, Sandra Maesta-Pereira, Matthias Ollivier, Peter J. Schuette, Ekayana Sethi, Blake A. Miranda, Emily Iniguez, Meghmik Chakerian, Eric Vaughn, Megha Sehgal, Darren C. T. Nguyen, Faith T. H. Yuan, Anita Torossian, Juliane M. Ikebara, Alexandre H. Kihara, Alcino J. Silva, Jonathan C. Kao, Baljit S. Khakh, Avishek Adhikari. Control of feeding by a bottom-up midbrain-subthalamic pathway. Nature Communications, 2024; 15 (1) DOI: 10.1038/s41467-024-46430-5