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【食】肥満者に朗報!食欲抑制ガム実現の可能性が見えてきた!
肥満食
Posted on 2011.11.28
米国・ニューヨーク州シラキュース大学のRobert Doyle准教授らが、Journal of Medicinal Chemistry 2011年11月4日オンライン版に発表した研究で、食欲を抑制する働きを持つホルモンである「ペプチドYY(PYY)」を点滴では なく、ガムなどに含ませて経口摂取することで、血中濃度を上昇させ、食欲を抑制させる新たな方法を開発したことを明らかにしました。
「PYY」 はこれまでの研究から食欲のコントロールに関わっているホルモンであることが知られており、通常は食べた食事のカロリー数が増えるに連れて分泌量が増加 し、血中濃度が高まり食欲が抑制されること、しかしながら肥満者の場合は空腹時においても食後においても、この「PYY」の血中濃度が普通体重の人に比べ て低水準であることが明らかになっていました。そして点滴静脈内投与により「PYY」の血中濃度を上昇させることで、肥満者であれ普通体重者であれ食欲が 低下し、摂取カロリーが減少することも実験的に明らかにされていました。しかしながら、この食欲抑制機能のある「PYY」は経口投与しても胃で分解されて しまい、「PYY」の形で腸管を経由して血液中まで届けることは困難でした。
一方で准教授は以前の研究で、インシュリンにビタミンB12を 媒介させることで、経口投与によってインシュリンを血中まで届ける手法を開発していたことから、同様の手法、つまり「PYY」にビタミンB12を媒介さ せ、経口投与で血中に届ける実験研究を行いました。その研究実験によって、インシュリン同様、「PYY」もこの手法で腸管から血液中に到達させることが可 能であることがわかりました。
この結果から、准教授はさらに研究を進めて禁煙しようとする患者のためのニコチンガムのような、肥満者のための「PYY」を含ませた食欲抑制ガムなどを開発するべく研究を進めたいとしています。