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【食】低たんぱく食は体重を減らすが、体脂肪は増やしてしまう!
肥満食
Posted on 2012.1.13
一日1000キロカロリー以上多くの低たんぱく質の食事を続けていると、一般的な食事や高タンパク質の食事を摂るより も、体重は増えないものの、体脂肪の量が増えてしまう可能性があることが、アメリカカリフォルニア州のペニントン生物医学研究所に所属するGeorge Bray博士らが、2012年1月4日のJournal of the American Medical Associationに発表した研究によって明らかになりました。
この研究は年齢が18歳から35歳、BMIが18~35の、男性16 人、女性9人の25人の参加者に、毎日954キロカロリーほど過剰(カロリーオーバー)に、食事を摂ることで、通常よりも約40%も多く、エネルギーを摂 取してもらいました。さらに毎日の高カロリーな食事のたんぱく質の量を、それぞれ5%、15%、25%に調整しました。参加者からはこれについて事前に許 可をもらい、8週間この食事を継続しました。
その結果、すべての参加者の体重は増加。たんぱく質が5%の高カロリー食を食べた場合、体重の 増加は3.16㎏、たんぱく質が15%の高カロリー食を食べた場合、体重の増加が6.05㎏、たんぱく質が25%の高カロリー食を食べた場合、6.51㎏ の体重増加という結果になりました。
一方で、3つのグループの体脂肪の増加に関しては、大きな差がありませんでした。また、高タンパク質食、標準タンパク質食を食べた場合、代謝量は増えますが、低たんぱく食の場合、代謝量に変化がありませんでした。
こ の結果によって研究者らは、低たんぱく質食は、体重を減少することはできるけれども、体脂肪を増やしてしまう可能性があると分析します。体脂肪が増えてし まうと、メタボリックシンドロームに陥って、さまざまな疾患の原因につながります。他方、高タンパク質の食事は、摂取した食品自体を消化、吸収、代謝する のにも、低たんぱく食よりも多く体を使う必要があり、エネルギーを消費するために、代謝量が増えるのではないかと分析します。
また、たんぱく質の多い食事であれば、筋肉量を増やすことで、基礎代謝を高めることができますが、低たんぱく質の食事では筋肉量が増えないために、基礎代謝も増えずに、体にいい影響を与えるものでないと分析します。
今回の研究では、参加者の人数も少なく、参加者は男性が多く、人種も黒人が多かったため、偏りがあるという指摘もありました。また、低たんぱく質の食品の中には、隠れた糖や脂肪が含まれており、これが、肥満につながっているのではないかと指摘する声もありました。