コラムColumn
睡眠不足は過食を招き肥満につながる!
肥満
Posted on 2012.3.22
米国・ミネソタ州ロチェスター市メイヨー・クリニックのVirend Somers博士らが、カリフォルニア州サンディエゴ市で2012年3月13~16日に開催されたアメリカ心臓協会・EPI/NPAM2012で発表した 研究で、睡眠不足になると摂食する総カロリー数が増加し、結果として肥満リスクが増加することが明らかになりました。
博士らは17人の健康 な青年男女を被験者として、8日間継続して実験を行いました。期間中被験者の9人は通常と同じ時間の睡眠、残りの8人の被験者は睡眠不足グループとして、 通常の3分の2の短い睡眠時間だけしか取らせず、両グループとも期間中は自分が食べたいだけ自由に食事をさせました。
被験者の食べた食事の 総カロリー数と睡眠時間の関係を分析した結果、睡眠不足グループは平均して1晩当たり1時間20分、いつもより睡眠時間が短く、平均して毎日549キロカ ロリーもいつもよりたくさん食べていました。同時に推計された被験者たちの1日の総消費カロリーは両グループで有意な差は見られず、結果として睡眠不足グ ループは、運動量が増えていないのにもかかわらず、摂取カロリーのみ増加していることも明らかになりました。
また実験開始前と実験中に採取 された被験者の血液サンプルの分析データから、睡眠不足グループの被験者は、食欲抑制ホルモンの「レプチン」が増加し、食欲亢進ホルモンの「グレリン」が 減少しているという、博士らが実験開始前に予想した結果(博士らは睡眠不足がホルモンバランス的に食欲を亢進させる方向になり過食になると考えていた)と 反対になっていましたが、これは睡眠不足グループが過食になった結果、不自然な過食を正常に戻そうという体の反応が生じている結果ではないかと博士らは分 析しています。
今回の実験結果から博士らは、あらためて肥満防止のために十分な睡眠が必要であることが確認できたとしています。
医療ジャーナリスト 宇山恵子
アメリカ心臓協会・EPI/NPAM2012 abstract MPO30 Insufficient Sleep Increases Caloric Intake but not Energy Expenditure