コラムColumn
【食】大豆タンパクが脂肪肝の症状緩和に効果!
肥満食
Posted on 2012.5.25
米国・イリノイ大学のHong Chen博士らが、カリフォルニア州サンディエゴで2012年4月21~25日に開催されたExperimental Biology 2012で発表した研究で、大豆たんぱく質が肝臓の情報伝達機能を、部分的に機能回復させることで、肥満患者の肝臓に蓄積した脂肪と中性 脂肪を、減少させることが明らかになりました。
博士らは肥満が多い米国では、成人の3分の1が脂肪肝であると推定され、場合によっては肝不全に至る脂肪肝は、見過ごすことのできない疾患であるにも関わらず、多くの場合、症状がないため放置されているとし、分子生物学の側面から、肝臓の脂肪の代謝を研究していました。
今 回ラットを使用した実験で、痩せたラットと肥満ラットに、それぞれ牛乳ベースのタンパク質であるガゼインを含んでいるエサを与えた場合と、大豆たんぱく質 を含んでいるエサを与えた場合とを比較しました。17週間継続した後、痩せたラットの場合、どちらのエサでも肝臓には特に変化がありませんでしたが、肥満 ラットでは、大豆たんぱく質のエサを与えられた場合に限って、中性脂肪と肝臓に蓄積した脂肪が20%も減少していました。
また博士らは大豆 たんぱく質分離物質が、脂肪の代謝に重要な働きをするWnt/β-カテニン・シグナル伝達経路(多細胞生物の体の形態形成を制御する重要なシグナル伝達経 路で、幹細胞や前駆細胞の増殖・維持や、がん、糖尿病、精神疾患の発症にも関わっているとされる)を部分的に回復さていることも発見しました。
博 士らはこの結果について、今後さらに研究が必要であるが、大豆たんぱく質は脂肪肝の緩和に効果があり、また多くの肥満患者に関して肝臓の脂肪の代謝に問題 があることから、この大豆プロテインの機能を研究することで、より多くの脂肪が肝臓から排出されるようになれば、肝臓機能に問題が発生することも減らせる ようになるだろうとしています。